2010年 概要
当院産婦人科の診療活動の特徴として母体搬送を含むハイリスク妊娠を中心とした周産期管理、婦人科悪性腫瘍の診断と治療があげられる。
周産期関係では分娩数が2010年は1,167件(帝王切開率41.0%)と多数例を扱っている。周産期の管理は母と胎児の両方の生命を考えなければならず、順調であった患者が昼夜を問わず急変することは日常のことである。他施設より送られてくる母体搬送は、このうち186件であった。緊急母体搬送の多くは夜間休日に送られてきているが、新生児医療センタ-と協力して1例1例最も良い結果となるよう努力している。母体搬送は東海3県でも最も多い施設のひとつであり、静岡県内で搬送先が見つからない場合には、県境を越えて静岡県からの母体搬送も受け入れている。その他、妊娠高血圧症候群の管理、切迫早産、前期破水等についても最新の情報を集め質の高い管理を目標としている。また、出産年齢の高齢化等に伴うハイリスク妊娠の増加に伴い帝王切開率も年々上昇している。2010年の分娩内訳は単胎1,112(帝王切開率38.1%)、双胎55(帝王切開率 100%)である。
婦人科悪性腫瘍は子宮癌、卵巣癌が主なものである。子宮頚癌は60例に対して治療を行った。進行期が初期の症例は縮小手術を行っている。放射線療法を必要とする進行子宮頚癌は、主に放射線科で治療しているが、化学放射線療法(化学療法と放射線療法を同時に行う治療)を放射線科と連携して行っており、非常に良い治療効果をあげている。子宮体癌(子宮体部悪性腫瘍)は37例治療したが、手術療法を先行させ進行期の症例には化学療法を行っている。卵巣癌は境界悪性8例を含め27例治療を施行した。卵巣癌は初回手術として傍大動脈リンパ節郭清を含む広汎な術式を選択して腫瘍病巣を可能な限り切除している。その後、タキサン、カルボプラチン療法を副作用に注意しながら行っている。再発例も少なからず存在するが、これらの症例には、患者及び家族とよく相談し治療方針を選択している。2010年は135名に延べ485コ-スの化学療法(抗癌剤治療)を行った。子宮頚癌の5年生存率は0期100%、IA期100%、IB1期96.8%、IB2期100%、IIA期91.7%、IIB1期93.7%、 III期71.7%、IV期47.1%であり、子宮体癌ではIA期100%、IB期98.7%、IC期88.9%、II期83.9%、IIIA期88.1%、IIIC期83.3%である。上皮性卵巣癌の5年生存率は、IA期91.7%、IC期79.5%、II期76.2%、III期35.7%、IV期17.0%である。当科での成績は全国的にも高いレベルを示している。また、小数例ながら絨毛性疾患に対しても、治療にあたっている。
以上のほか、産婦人科領域では子宮筋腫、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍などの治療があるが従来どおり、その症例に対して最も良い方法を選択している。特に、将来的に挙児希望のある患者に対しては、当院の総合生殖医療センターと連携をとり、将来の挙児獲得を前提において治療にあたっている。
社会環境の変化は著しいものがある。特にインフォームドコンセントについては当科では可能な限り十分に説明した上患者および家族の同意を得て希望にそうような治療ができるよう努力している。
近年、産婦人科医の急激な減少により産科医療の崩壊が全国各地で起きている。東三河地方においても例外ではなく、二次医療機関の産婦人科の消滅、分娩の取りやめ、分娩制限のため、基幹病院である当院へ多くの症例が紹介されてきている。一方、当院では産婦人科を希望する若手医師は多く、毎年複数名が新たに専攻医として活躍している。また、医学生の見学も多く、年間二十名以上が訪れている。
(若 原 靖 典)
(1)入院患者数 延べ 2,619人
(2)分娩数 1,167件(帝王切開率41.0%)
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(1)単胎 |
1,112
(帝王切開率38.1%)
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ア 正常分娩 |
593 |
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イ 鉗子分娩 |
8 |
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ウ 吸引分娩 |
15 |
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エ 墜落産 |
1 |
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オ 予定帝王切開術 |
249 |
|
カ 緊急帝王切開術 |
174 |
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キ 自宅分娩 |
1 |
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ク 飛び込み分娩 |
6 |
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ケ 飛び込み鉗子分娩 |
1 |
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コ 飛び込み帝王切開 |
1 |
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サ 経腟死産 |
3 |
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(2)双胎 |
55
(帝王切開率100%) |
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ア 予定帝王切開術 |
39 |
|
イ 緊急帝王切開術 |
16 |
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(3)12-22週 流産・中絶 |
32 |
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ア 流産 |
9 |
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イ 中絶 |
22 |
|
ウ 双胎中絶 |
1 |
(3)母体搬送 186例
(4)手術件数(総合生殖医療センタ-分も含む)984件
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(1)帝王切開術 |
477 |
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(2)分娩(帝王切開を含む)後子宮全摘術又は子宮腟上部切断術 |
3 |
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(3) 会陰裂傷縫合・腟壁血腫除去術 |
8 |
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(4) 頚管縫縮術 シロッカー法 |
9 |
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(5) 頚管縫縮術 マクドナルド法 |
1 |
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(6) 頚管縫縮糸抜糸 |
1 |
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(8) 子宮外妊娠手術 |
25 |
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(9) 子宮内容除去術(流産) |
25 |
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(10) 子宮内容除去術(人工妊娠中絶) |
15 |
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(11) 羊水穿刺 |
47 |
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(12) 胞状奇胎娩出術 |
7 |
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(13) 単純子宮全摘術(附属器切除例含む) |
88 |
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(14) 単純子宮全摘術(リンパ節郭清含む) |
17 |
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(15) 拡大子宮全摘術(リンパ節郭清含む) |
12 |
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(16) 広汎性子宮全摘術(リンパ節郭清含む) |
13 |
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(17) 子宮腟上部切断術(附属器切除例含む) |
5 |
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(19) 腟式子宮全摘術、前後腟会陰形成術 |
6 |
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(20) 子宮筋腫核出術 |
33 |
|
(21) 経腟的子宮筋腫摘出術 |
3 |
|
(22) 卵巣腫瘍核出術 |
52 |
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(23) 附属器切除術 |
64 |
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(24) 卵管切除術 |
3 |
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(25) 開腹骨盤内膿瘍・腫瘍摘出術 |
2 |
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(26) 卵巣膿瘍・腹腔内膿瘍ドレナージ |
4 |
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(27) 開腹止血術 |
2 |
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(28) 試験開腹術・開腹生検 |
7 |
|
(29) 開腹癒着剥離術 |
1 |
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(30) 子宮頚部円錐切除術 |
66 |
|
(31) 子宮頚部レ-ザ-蒸散術 |
1 |
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(32) 子宮内膜全掻爬術 |
1 |
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(33) バルトリン腺嚢胞造袋術 |
2 |
|
(34) 子宮頚部腫瘍(ポリープ含む)切除術 |
2 |
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(35) 尖形コンジロ-マ切除術 |
1 |
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(36) 外陰部腫瘍摘出術 |
1 |
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(37) 子宮鏡下内膜ポリ-プ切除術 |
2 |
|
(38) 子宮鏡下子宮筋腫摘出術 |
1 |
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(39) 腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術 |
19 |
|
(40) 腹腔鏡下子宮筋腫核出術 |
3 |
|
(41) 腹腔鏡下異所性妊娠手術 |
3 |
(5)悪性腫瘍
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子宮頚癌(子宮腟部高度異形成を含めて) |
97例
|
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(1)子宮膣部高度異形成(扁平上皮) |
37
|
|
(2) 子宮頚癌(扁平上皮癌)初回手術症例 |
36 |
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stage 0 |
24 |
|
Ia1 |
4 |
|
Ia2 |
1 |
|
Ib1 |
3 |
|
IIa |
1 |
|
IIb |
3 |
|
(3) 子宮頚癌(腺癌)初回手術症例 |
8 |
|
0 |
2 |
|
I |
1 |
|
Ib1 |
4 |
|
Ib2 |
1 |
|
(5) 子宮頸癌(verrucous carcinoma)初回手術例 |
|
IIb |
1 |
|
(6) 子宮頚癌化学放射線療法後手術 |
|
IIIb |
1 |
|
(7) 子宮頚癌化学放射線療法(放射線科と共同治療) |
9 |
|
Ib2 |
1 |
|
IIb |
5 |
|
IIIb |
2 |
|
IVb |
1 |
|
(8) 子宮頚癌放射線療法(主に放射線科) |
5 |
|
IIb |
3 |
|
IVa |
2 |
|
(9) 乳癌子宮転移手術例 |
1 |
|
(10) 子宮体癌初回手術例 |
32 |
|
stage 0(異型内膜増殖症) |
1 |
|
Ia |
5 |
|
Ib |
13 |
|
Ic |
6 |
|
IIb |
2 |
|
IIIa |
4 |
|
IIIc |
1 |
|
IVb |
1 |
|
(11) 子宮体癌放射線治療 |
1 |
|
(12) 子宮癌肉腫初回手術例 |
2 |
|
Ib |
1 |
|
IVb |
1 |
|
(13) 子宮肉腫初回手術例 |
2 |
|
間質肉腫IIIa |
1 |
|
未分化肉腫IVb |
1 |
|
(14) 卵巣癌 |
19 |
|
stage Ia |
2 |
|
Ic |
9 |
|
IIc |
3 |
|
IIIb |
1 |
|
IIIc |
4 |
|
(15) 卵巣境界悪性腫瘍 |
8 |
|
stage Ia |
2 |
|
Ic |
4 |
|
IIIa |
1 |
|
顆粒膜細胞腫Ib |
1 |
|
(16) 腹膜癌 |
3 |
|
(17) 奇胎後hCG 存続症 |
2 |
化学療法
入院 117人に対して、延べ421コースを施行した
外来 18人に対して、延べ64コースを施行した