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ゲノム診療センター

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ゲノム診療とは

 ゲノム診療はゲノム、すなわち細胞の染色体に記された遺伝情報の異常に基づく疾患を診療の対象とします。
 多くの病気は外部から侵入する病原体や生活習慣病のような環境要因で発症します。しかし、先天性疾患は生殖細胞の遺伝子異常で発症し、がんは分化した体細胞の遺伝子異常で発症します。両方が組み合わさることもあります。原因が特定された遺伝子異常の診断はすでに比較的容易になっていますが、原因遺伝子が特定できていない場合や多くの遺伝子の異常で起きる場合、さらには、原因遺伝子以外の遺伝子異常が発症に影響したり治療感受性薬剤感受性に影響したりしている場合には、遺伝子全体の遺伝情報(=ゲノム)の解析が必要となってきます。
 ゲノムの解析は、これまでの研究室レベルのものから、臨床現場でも利用出来るレベルに急速に発展してきています。今後の医療現場では、遺伝子異常に基づく疾患の正確な診断や患者さんに合わせた診療(テーラーメイド診療)を実施する必要があり、そのためにはゲノムの解析が不可欠となってくるでしょう。 しかし、ゲノム検査を実施する前提として、遺伝子変異が疾患を引き起こす機序や遺伝子変異によって治療が変わり得るのかといった知識だけでなく、ゲノムの解析から遺伝性遺伝子異常が、予期せぬものを含めて、明らかになった場合に生じ得る倫理的問題についても、患者さんに適切に説明し理解してもらうカウンセリング体制が求められています。次の世代に影響しうるゲノム解析の結果は重要な個人情報であり厳重に管理する体制も必要です。

ゲノム(遺伝情報)、ゲノムの異常と病気の関係(補足)

 ヒトの細胞の構造と機能は、細胞の核内にある23組の染色体に含まれる遺伝情報(=ゲノム)で決定されます。1組の染色体は両親の生殖細胞に由来する1対の染色体からなり、子供は両親からの遺伝情報を引き継ぐことになります。
 生殖細胞の段階で遺伝子に異常をきたすと、この異常は次の世代に遺伝してさまざまな遺伝性疾患を引き起こすことになります。一方、からだの各臓器に分化した体細胞の段階でも、さまざまな遺伝子異常をきたすことがわかっています。がんは、ひとつの遺伝子の異常では発生せず、複数の異常が多段階的に重なった結果、細胞が成熟したのちにやがて自然死に至るはずの過程が途中で停止して不死の細胞となったり、増殖を制御する機能が失われて勝手に増殖するようになったりして、発生します。この異常は基本的に遺伝することはありません。しかし、まれに生殖細胞の重要な遺伝子に異常が起きていると、後の遺伝子異常が加わって容易に発癌することがあります。このようながんの場合は遺伝して家族内発生を来します。
 がんを引き起こす遺伝子異常のほかに、抗がん剤の薬物代謝系に関わる酵素の遺伝子に変異があると、そのこと自体は病気にはならなくても、薬剤の代謝を早めたり遅くしたりして薬剤への感受性に影響する可能性があります。

ゲノム診療センターの創設とその目標について

 当院では2018年4月1日からゲノム診療センターを創設しました。従来遺伝子異常の解析は、外科、消化器内科、産婦人科、小児科、あるいは血液・腫瘍内科などの各科が独自に検査センターに依頼したり、臨床研究に参加したりして、実施してきました。
 ゲノム診療センターは、これらの足並みをそろえる調整を行い、委託検査会社で実施検査可能な遺伝子検査の種類をアップデートし、さらに大学病院や研究所などの検査依頼先を開発して、最新の検査を効率よく実施することを目標とします。特に、がんに関わるゲノム解析については、名古屋大学を中核拠点病院とするがんゲノム診療連携施設に参加する予定です。ゲノム診療に関わる倫理的問題については遺伝カウンセリング専門スタッフを配置して患者さんが不安を持つことなく遺伝子検査できることを目指します。また、検査結果を一元的に保存厳重に管理するデータ管理を行い患者さんの個人情報がもれることがないことを目指します。

ゲノム診療センターの個別の目標

1)保険適応内、適応外で実施できる委託検査から臨床研究レベルで実施できるものまで実施できる遺伝子検査の最新の状況を把握する。検査は大きく分けて以下の3つに分けられます。
 1.がんをはじめとしたすでに病気を発症した患者さんを対象に診断や治療を目的とした検査。
 2.家族性腫瘍を含む遺伝的な疾患について血縁者も含めた検査(発症前もありうる)。
 3.染色体異常を含む出生前の胎児・受精卵に関する遺伝学的検査(詳細はこちら(別ページへ移動します))。
  ※現在のところ当院では受精卵に関する遺伝学的検査は行っていません。
2)遺伝子検査を実施するまえに十分な説明と同意が取れる。
3)遺伝子検査の結果がでた際に患者さん・ご家族の不安、悩み、疑問に対応できるように遺伝カウンセリングができる。
4)遺伝子検査を実施した患者とその結果について一元的に管理する。

スタッフ

センター長 岡田 真由美(産婦人科第二部長兼任)

連携診療科と担当医師

診療科担当医
呼吸器内科 菅沼 伸一   竹山 佳宏
消化器内科 山田 雅弘
神経内科 岩井 克成   大山 健
血液・腫瘍内科 杉浦 勇    倉橋 信悟
一般外科 吉原 基
産婦人科 岡田 真由美   河合 要介
小児科 伊藤 剛
小児科(新生児) 杉浦 崇浩

遺伝カウンセリング体制

 遺伝医学の発展及び遺伝子解析の技術の進歩により、医療の現場では染色体検査、遺伝生化学的検査、DNA検査など様々な遺伝学的検査がすでに利用されています。しかし、遺伝学的情報の中には生涯変わらない個人情報が含まれること、また血縁者の間で共有される情報であることなどから検査前後の遺伝カウンセリングが非常に重要となってきます。
 当センター遺伝カウンセリング部門では遺伝学的検査に伴う患者様やご家族の不安、悩み、疑問について対応し、その後の意思決定ができるようサポートしていきます。

主な遺伝学的検査

準備中

がんゲノム医療連携病院の指定について

 当院は、平成30年3月末日に厚生労働大臣から「がんゲノム医療連携病院」に指定されました。名古屋大学医学部附属病院とグループを組み、東海・北陸ブロック14病院の1つとして、がんゲノム医療を推進しています。