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脳神経外科「主な対象疾患の説明」6

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水頭症(続発性水頭症)

原因

脳や脊髄を包む脳脊髄液の通過及び吸収の障害により、脳脊髄液を産生する場所である脳室が拡大する病気です。

水頭症

髄膜炎、脳腫瘍、クモ膜下出血、脳室内出血等が原因となります。

症状、手術方法、術後経過

通常、頭痛、意識障害を生じます。
1)交通性水頭症(脳脊髄液の流れる道は開通しているが、吸収が悪い状態)
過剰な脳脊髄液を腹腔内に導きそこで吸収させる、シャント手術を行います。通常は全身麻酔により、脳室内に脳脊髄液を排出する管を入れその管を腹腔内に導く、脳室-腹腔シャント術を行います。

水頭症

通常、手術により神経症状は改善します。可能性は多くはないのですが、脳脊髄液の流れ過ぎによる慢性硬膜下血腫等が生じえます。

2) 非交通性水頭症(脳脊髄液の流れる道が閉塞した状態)
シャント手術の他、第3脳室の底部に穴を開ける第3脳室開窓術も行います。第3脳室開窓術は全身麻酔下、神経内視鏡という装置を用い、穿頭、もしくは小開頭で行います。この手術では、シャントチューブの埋め込みは不要です。

水頭症手術器具写真
水頭症手術方法イメージ

水頭症手術イメージ

通常、手術により神経症状は改善します。

※許可を得て引用:
 日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜

特発性正常圧水頭症

頭の中に「髄液」という液体が過剰に溜まることで脳の働きが鈍くなるため、1)歩行障害、2)認知障害、3)排尿障害の3つの徴候がみられる原因不明の病気です。

特発性正常圧水頭症

ただし、3つの徴候すべてがそろう場合は約半数とされ、1つまたは2つの徴候だけということもあります(この場合でも歩行障害はほとんどの例にみられます)。
幸いこの病気は手術で治る可能性があります。日本では10年ほど前から注目されていて、60歳以上の方なら誰もがかかる可能性があります。

3徴候の見分けかた

1)歩行障害
開脚・小刻み・足が床から挙がりにくくスリ足となるので、特に方向転換が苦手になります。歩きかけの最初の一歩目が出にくくなるパーキンソン病の歩行とは少し異なります。

特発性正常圧水頭症

2)認知障害
昨今、社会問題として注目されている高齢者における認知症の原因はアルツハイマー病や脳血管性認知症など治療が難しい病気であることが多いのですが、中には少し聞きなれない「特発性正常圧水頭症」という病気が原因となっていることもあります。

特発性正常圧水頭症

問いかけに対する反応や動作がゆっくりで、集中力が持続しにくくなります。記憶力が低下し暗算や会話が苦手になります。
実際はアルツハイマー病など他の認知症との区別は難しいです。

3)排尿障害
排尿した後も尿の残った感じがあったり、急な尿意でがまんができなくなったりします。
進行すると尿を失禁してしまいオムツを使用しなければなりません。

診断のしかた

1)CTもしくはMRIによる画像検査
脳室(脳の中で髄液をためておく空洞)の拡大や脳脊髄液の不均一な分布といった特発性 正常圧水頭症に特徴的な所見の有無を確認します。

特発性正常圧水頭症

2)髄液排除試験(タップテスト)
腰背部に細い針を刺して過剰な脳脊髄液を30mlほど排除し、その後3徴候が改善された場合は手術が有効だと判断されます。外来で行うことが可能な検査です。

治療法

1)シャント手術
過剰に溜まった脳脊髄液を排除するための管(シャントチューブ)を体に埋め込む手術です。

特発性正常圧水頭症

脳室腹腔シャント(VPシャント)術または腰椎腹腔シャント(LPシャント)術が一般的に行われています。

特発性正常圧水頭症

全身麻酔による1時間程度の手術で入院期間は1~2週間ほどです。

2)リハビリテーション
手術の効果を最大限に発揮させるためには、運動機能や認知機能を回復するための訓練が必要となります。退院後もリハビリテーションを継続することが望まれます。

高齢者は様々な病気が混在していることもあり、必ずしも診断から治療までスムーズにいくというわけではありません。手術により合併症をきたす危険性もあります。
しかし、特発性正常圧水頭症は早期発見・早期治療がより効果的ですので、前述したような症状が思い当たるようでしたら、まずは脳神経外科など専門医にご相談ください。

※許可を得て引用:
 難病情報センター、特発性正常圧水頭症 診療ガイドライン第2版、Johnson & Johnson Codman

先天性奇形

以下のような多様な疾患が見られます。

A)水頭症

先天性奇形

原因

先天性水頭症

脊髄髄膜瘤、Dandy-Walker症候群、先天性中脳水道狭窄症、胎内感染に伴う水頭症や、遺伝性の水頭症があります。

続発性水頭症

脳腫瘍、くも膜下出血、早産児や低出生体重児での脳室内出血、髄膜炎、頭部外傷に伴う水頭症があります。

症状

頭位拡大、眼球下方偏位等が起こり得ます。

治療

通常は脳室-腹腔シャント手術を行います。

先天性奇形

先天性中脳水道狭窄症では、内視鏡を用いた第3脳室底開窓術も考慮します。

先天性奇形

B)神経管閉鎖障害(二分脊椎)
脊髄髄膜瘤

先天性奇形

手術による整復が必要です。

潜在性二分脊椎

・先天性皮膚洞

先天性皮膚洞イメージ
先天性皮膚洞レントゲン写真

脊柱管内と交通している時は、膿瘍形成や髄膜炎等の感染を生じ得ます。また、脊髄の係留や神経圧迫の原因ともなり得ます。そのような場合には手術による整復が必要となり得ます。

・先天性皮膚洞

先天性奇形

神経管閉鎖時の脂肪組織の迷入により発生します。幼児期になるとともに、歩行障害、下肢の疼痛、感覚障害、排尿障害等の脊髄係留症候群が生じてきます。そのような場合には手術が必要となりますが、感覚障害、排尿障害は比較的治りにくいとされています。

C)後頭蓋窩の脳形成異常
キアリ奇形を生じます。

先天性奇形

後頭蓋窩の狭小化により発生します。I型では、咳やくしゃみをする時の頭痛、嚥下障害、無呼吸等で発症し、幼児期になるに従い、側彎、後頭部痛、四肢体幹の疼痛等、脊髄空洞症の症状を呈するようになります。症状がある時は、大後頭孔の減圧手術が必要となります。

※許可を得て引用:
 日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜

炎症性疾患(脳膿瘍)

原因

歯、副鼻腔、中耳を含む、全身臓器の感染部位より、起炎菌が直接または血行性に脳に侵入し、脳実質内に化膿性炎症を来し、脳内に膿が貯留する病気です。

症状

発熱、頭痛、悪心、けいれん、片麻痺等の症状が生じます。

治療方針

まずは抗生物質や脳浮腫を抑える薬の点滴を行います。被膜が形成されてきた段階で、外科的に膿瘍の吸引除去を行います。

治療方法

手術は穿頭術により膿瘍を穿刺し、排膿することが多いのですが、脳の圧迫が強い時は、開頭術により膿瘍を摘出することもあり得ます。

治療経過

予後は改善されてきていますが、死亡率はまだ20%あります。免疫不全が基礎疾患としてある場合は予後不良です。
その他、硬膜下腔に硬膜下膿瘍ができることもあり、注意が必要です。